AIR
AIR(AI音声IR取材)
AIRセールスファクトブック
281A
電力データを独自のAIで解析し電力消費者や電力事業者向けに省エネ・快適生活や運用効率最適化のSaaSを提供し利用企業数やエンドユーザー数に応じた継続課金で収
有価証券報告書(2025-12期)からの抜粋。
3
(1) ミッション当社グループは、「エネルギーデータの力で、暮らしの未来を変えていく。」をミッションとして、[エネルギー×AI]をコア技術に、エネルギー最適化ソリューションを提供することで、日本で、世界で、カーボンニュートラルの社会実装に挑み続けております。
(2) 事業の概要当社グループは、当社、連結子会社(Informetis Europe Ltd.)及び関連会社(株式会社エナジーゲートウェイ)の3社で構成され、脱炭素やGXに取り組む企業向けに、エナジー・インフォマティクス事業を展開しております。連結子会社であるInformetis Europe Ltd.は、地域的にAI(機械学習(注1))の学術的教育環境が整っており、最先端のAI研究者採用に有利なイギリス・ケンブリッジに設立された技術開発拠点であるとともに、欧州圏を中心とした営業拠点でもあります。関連会社である株式会社エナジーゲートウェイは、当社と東京電力パワーグリッド株式会社で共同設立した東京電力パワーグリッド株式会社の子会社で、国内における当社電力消費者向けサービスの独占的販売代理店であるとともに、東京電力グループの事業領域を拡大し、同グループの競争力の強化と企業価値の向上に重要な役割を果たしております。 エナジー・インフォマティクス事業は、エネルギー関連データを独自のAIで解析し、
①省エネルギーと快適生活の実現をするスマート・リビングサービスと
②エネルギーの運用効率の最適化を実現するエネルギー・マネジメントサービスをSaaS(注2)型で提供するもので、その概要は、以下のとおりであります。
① 電力センサー等から得られるエネルギー関連データをIoTデータプラットフォーム(注3)(以下、「プラットフォーム」という。)に収集 ↓
② プラットフォームに蓄積されたエネルギー関連データを独自のAI
※で解析し、例えば、電力のムダを削減するなどの価値あるデータに加工
※独自のAIとNILMエネルギーデータをAI(機械学習)により分析し、家庭や施設の総電力データから「どの家電がいつ、どのくらい使われているか」をリアルタイム(即時)に推定する機器分離推定技術(Non-Intrusive Load Monitoring技術(以下、「NILM」という。))や最適化技術を中核とするエネルギーデータ解析に特化した当社グループ独自のAIのことです。NILMは、各家庭や各施設の総電力の入口である主幹部分に設置した1つの電力センサーにより総電力データを取得し、主幹電力波形をAI(機械学習)等により分析することで、家電ごとにたくさんのセンサーを取り付けたり、スマート家電に買い替えたりすることなく、どの家電が、いつ、どれくらい使われていたかを推定する当社グループのコア技術です。当社グループは、2016年に国内初のNILM商用サービスを提供し、東京電力グループとの連携を通じて、業界でのプレゼンスを強化してまいりました。これにより、当社グループは、電力AI業界におけるリーディング企業としての地位を確立しております。NILMによって、これまで知りえなかった電力使用の内訳を簡単に知ることができるようになるだけでなく、そこから得られたデータは、エネルギーの効率的利用や生活の見守りなど様々なメリットをもたらします。 ↓
③ 価値あるデータを用いてプラットフォーム上に構築されたスマート・リビングサービスとエネルギー・マネジメントサービスを提供することで、電力利用効率の最適化 具体的には、電気を作る(発電)→電気を送る(送配電)→電気を小売りする(小売)→電気を消費する(消費)という電力供給の仕組みの中で電力利用効率の最適化を図るためには、電力供給に関わる設備の特徴を考慮しながら電力供給のバランスを維持しつつ、生活の質を保ち、不便を最小限に抑える必要があることを踏まえて、(ⅰ)電力消費者向けサービスの提供を通じて電力利用効率の最適化を図る「ienowa(イエノワ)」、「enenowa(エネノワ)」及び「hitonowa(ヒトノワ)」などのサービスと、(ⅱ)電力を供給する側である電力事業者向けサービスの提供を通じて電力利用効率の最適化を図る「BridgeLAB DR(ブリッジラボ ディーアール)」などのサービスを提供しております。 なお、当社グループは、エナジー・インフォマティクス事業を単一セグメントで展開しているため、以降の説明においてセグメント別の記載は省略しておりますが、事業領域は、事業を展開する地域により、
①国内領域及び
②海外領域に分かれております。 当社グループの収益モデルは、プラットフォーム上に構築されたサービスを利用する顧客企業数又は顧客企業のエンドコンシューマー数及びプラットフォーム上で稼働する各種アプリのエンドコンシューマー数が増加するにつれて、年々売上収益が積み上がり、累積的・継続的な発生を見込むことが可能なリカーリング型の収益(ストック型の収益)があり、「プラットフォーム・アプリ提供」がこれに該当いたします。一方で、プラットフォーム上に構築されたサービスやプラットフォーム上で稼働する各種アプリの利用開始時には、起点として、電力センサーの機器販売代金、プラットフォーム上に構築されたサービスの初期設定費用やプラットフォーム上で稼働する各種アプリの初期設定費用などの一時的な収益(フロー型の収益)を伴うこともあり、「アップフロント」がこれに該当いたします。「アップフロント」は、「プラットフォーム・アプリ提供」の起点となることから、当社グループでは、累積的・継続的な収益である「プラットフォーム・アプリ提供」のみならず、一時的な収益である「アップフロント」も重視しております。なお、当社グループにおいては、見込顧客による実証実験が翌年以降の商業化に伴う収益につながっております。実証実験において、当社グループは、実証実験の設計、運営、データ分析やレポート作成などのプロセスの全部又は一部を見込顧客から受託し、委託料を受け取るのが一般的な収益モデルとなっており、「その他」がこれに該当いたします。 当社グループにおける収益区分の詳細は、以下のとおりであります。 区分収益の性質収益の説明具体例アップフロントフロー型1.プラットフォームの利用開始時に生じる一時的な収益2.電力センサーの販売台数、プラットフォーム上に構築された各種サービスを利用開始した顧客企業数やプラットフォーム上で稼働する各種アプリを利用開始したエンドコンシューマー数(プラットフォーム登録者数)などに比例する3.プラットフォーム・アプリ提供による収益の基盤となるため、アップフロントが増加すると、翌月以降のプラットフォーム・アプリ提供による収益の増加が見込まれる1.電力センサーの機器代金2.プラットフォーム上に構築された各種サービスの初期設定費用3.プラットフォーム上で稼働する各種アプリの初期設定費用プラットフォーム・アプリ提供ストック型リカーリング型1.プラットフォームの利用開始後に生じる累積的・継続的な収益2.プラットフォーム上に構築された各種サービスを利用する顧客企業数やプラットフォーム上で稼働する各種アプリのエンドコンシューマー数(プラットフォーム登録者数)などに比例する1.プラットフォーム上に構築された各種サービスに関する以下の料金・利用料金・運用保守料金2.プラットフォーム上で稼働する各種アプリの利用料金その他フロー型
※ただし、繰り返し得られるものは、ストック型・リカーリング型1.プラットフォームの利用開始前後を問わず生じる一時的な開発等による収益2.上記1のほか、アップフロント及びプラットフォーム・アプリ提供以外の収益1.受託開発料金2.実証実験料金
① 国内領域当社グループは、国内領域においては、以下のとおりサービスを提供しております。 電力消費者向けサービス商用化段階スマート・リビングサービス電力消費者側の行動変容による電力利用効率の最適化を目的として、電力消費者にサービスや設備を直接提供している賃貸事業者、ハウスメーカー及び住宅設備商社に向けて、AI+IoT住宅サービス(電力の見える化サービス)や設備の遠隔制御サービスなどを提供しております。具体的なサービスとして、「ienowa(イエノワ)」、「enenowa(エネノワ)」及び「hitonowa(ヒトノワ)」があり、これらがスマート・リビングサービスのスタンダードサービスとなります。「ienowa(イエノワ)」及び「enenowa(エネノワ)」は、家電による電気の使用や太陽光の発電、蓄電池の充放電などの家庭における電力の流れを電力消費者に向けてわかりやすく見える化し、「家電のつけっぱなし」や「電気の使い過ぎ」などを、通知いたします。 また、「enenowa(エネノワ)」は、蓄電池等の大容量電力設備を自動で最適化制御するアルゴリズムも組み入れており、高度な電力マネジメントを可能にいたします。さらに、「hitonowa(ヒトノワ)」は、電力消費者と顧客企業をつなぐ顧客企業向けの管理システムであります。「hitonowa(ヒトノワ)」は、電力消費者からの問い合わせ受信や電力消費者へのお知らせ配信の業務効率化、電力データを利活用したより良い暮らしの提案などを実現いたします。「ienowa(イエノワ)」及び「enenowa(エネノワ)」に使用されている当社のNILM技術は、従来の標準的電力情報である「30分値」よりも大幅に高精細な電力波形情報をもとに、「どの家電がいつ、どのくらい使われているか」をリアルタイム(即時)に推定するものであるため、これを家電の稼働、家の中の活動センサーデータとして応用し、他のIoT機器(注4)連携を組み合わせたIoTスマートホームへの活用も進んでおります。具体的には、「30分値」よりも高精細な電力情報取得のために設置した当社グループの電力センサーからの電力データとGoogle Homeなどのスマート家電コントローラ(注5)とを連携させることにより、家の状況、暮らしの様子を細かく把握した空調自動制御やその確認、エンドコンシューマー(消費者)による遠隔制御を可能にしております。 エネルギー・マネジメントサービス蓄電池AI最適制御、V2H(注6)AI最適制御当社の数理最適化AI技術を活用し、EV(電気自動車)の利用も含めた家庭の電気の使用状況やPV(太陽光発電)の発電状況、天気予報などの情報をAIが分析・予測し、蓄電池やEVの充電・放電を自動でコントロールし、家庭のエネルギーの使い方を最適化いたします。また、PV・EV・蓄電池の稼働状況は、「enenowa(エネノワ)」を通じて確認することができます。 収益区分
※収益区分の詳細は、前掲の表をご参照ください。「ienowa(イエノワ)」及び「enenowa(エネノワ)」においては、サービスを利用するために必要となる電力センサーの販売代金が一時的な収益である「アップフロント」に該当し、家電による電気の使用や太陽光の発電、蓄電池の充放電などの家庭における電力の流れをエンドコンシューマーである電力消費者に向けてわかりやすく見える化するアプリの利用料金が累積的・継続的な収益である「プラットフォーム・アプリ提供」に該当し、顧客企業の要望に基づいて、アプリのカスタマイズなどの特別なシステム開発や実証実験を行った場合に生じる料金が一時的な収益である「その他」に該当いたします。また、「hitonowa(ヒトノワ)」においては、サービスの利用開始時の初期設定費用が「アップフロント」に該当し、サービスを利用する際に生じるランニング費用が「プラットフォーム・アプリ提供」に該当し、顧客企業の要望に基づいて、カスタマイズなどの特別なシステム開発を行った場合に生じる料金が「その他」に該当いたします。蓄電池AI最適制御、V2H最適AI最適制御においては、当社グループのシステムと顧客である小売電気事業者等のシステムの連携のために生じる初期設定費用が一時的な収益である「アップフロント」に該当し、サービスを利用する際に生じるランニング費用が累積的・継続的な収益である「プラットフォーム・アプリ提供」に該当し、顧客の要望に基づいて、特別なシステム開発等を行った場合に生じる開発料金が一時的な収益である「その他」に該当いたします。 実証実験段階電力利用効率の最適化のためには、高度な電力マネジメントに加え、電力+αの付加価値を実現することで、当社のサービスを利用する顧客企業及び電力消費者の数並びにその利用接点を増やし、当社のサービスを社会基盤(インフラ)化することが重要になります。そのため、当社グループでは、電力+αの付加価値を実現するため、以下のとおり、実証実験を積極的に行っております。
① 自治体ヘルスケア
② ライフスタイルスコア国立医療機関との実証実験の結果、電力データから認知機能低下を予測するモデル作成に成功したことによる軽度認知障害(MCI)の早期発見に向けたサービスや、地方自治体との実証実験の結果、電力データから生活行動や異常状態を正しく推定することによる高齢者向け見守りサービスを、2026年から2027年までの間にリリースすることを目指しております。
③ 不在配達低減在宅確率の推定データを物流配達事業者の配達ナビゲーション・システム地図のバックグラウンドデータに埋め込むことで、不在配達の削減が期待されております。また、エネルギーデータと過去の配送実績、渋滞及び天候データを組み合わせることによる運送効率の向上や、CO2の排出量の削減も同様に期待されております。当社グループでは、これについても、2026年から2027年までの間にリリースすることを目指しております。電力事業者向けサービス商用化段階スマート・リビングサービス簡易電力使用状況見える化サービス(NILMライトサービス)電力センサーからの精細かつリアルタイム性のある電力データを活用した「ienowa(イエノワ)」や「enenowa(エネノワ)」とは別に、既存の電力メーターからの30分単位の電力データ(電力30分値データ)を活用することで、リアルタイム性や高い精度を求めるのではなく、初期コストを抑えた(=電力センサーの設置が不要)電力使用状況見える化サービスを求める電力事業者の声に応え、「ienowa(イエノワ)」「enenowa(エネノワ)」といったスタンダードサービスとは別に、簡易電力使用状況見える化サービス(NILMライトサービス)を提供しており、これがスマート・リビングサービスのライトサービスとなります。現時点では、伊藤忠エネクス株式会社のグループ会社である株式会社エネクスライフサービスとともに、簡易電力使用状況見える化サービスである「テラりんアイ(AI)」を提供しております。簡易電力使用状況見える化サービス(NILMライトサービス)は2つの側面からデマンドレスポンス(DR)支援サービスとシナジーがあります。一つ目は機能的な観点です。簡易電力見える化により、各家庭の消費電力の大きな機器の使用量を把握することが可能になります。電力事業者は分析結果を見て、電力消費者への需要調整の要請をしたり、逆にデマンドレスポンス(DR)支援サービスへの参加率の高い家の家電使用状況からデマンドレスポンス(DR)支援サービスで捻出できる電力を想定すること等ができるようになります。もう一つは営業的な観点です。電力事業者は電気代の内訳を契約者に示すことで、電気代への不満解消ができることや、電力使用状況見える化のような付加サービス提供によるカスタマーエンゲージメントの向上を求めております。従って、デマンドレスポンス(DR)支援サービスを既に導入済の事業者に簡易電力使用状況見える化サービスを追加で導入することや、逆に簡易電力使用状況見える化に興味を持った電力事業者にデマンドレスポンス(DR)支援サービスも併せて導入するなど一つの事業者に対するアップセルを期待することができるようになります。 エネルギー・マネジメントサービスBridgeLAB DR(ブリッジラボ ディーアール)主に小売電気事業者及びエナジー・リソース・アグリゲーション・ビジネス(注7)事業者に向けて、クラウド型デマンドレスポンス(DR)支援サービス「BridgeLAB DR(ブリッジラボ ディーアール)」を提供しております。デマンドレスポンスとは、電力需給の極端な乱れが見込まれる場合に、小売電気事業者等が対象となる時間を指定したうえで、電力消費者に対象時間の電力消費の抑制を促し、抑制実績に基づいて、電気料金を割り引いたり、ポイント等のインセンティブを付与したりするものです。太陽光や風力など再生可能エネルギー(以下、「再エネ」という。)は、天候等により電気の供給状況が大きく変わる可能性があり、予測が困難なことから、需給バランスの乱れによる停電が発生する可能性があり、電力消費者が電気の供給状況に応じて賢く消費パターンを変化させるデマンドレスポンスの重要性が高まっております。デマンドレスポンスは、消費のパターンによって、電力消費を減らす(抑制する)「下げDR」と、電力消費を増やす(創出する)「上げDR」の二つに大きく区分されます。「下げDR」は、電力の需要が過多となり供給が逼迫するタイミングで、電化製品等の消費を落とす(家電をオフして外出する・エアコンの設定温度を変える等)ことによって、逆に「上げDR」は、再エネの過剰出力分を、電化製品等の稼働や蓄電池・EV(電気自動車)の充電などにより消費・吸収し、電気の需給バランスを改善するものです。「BridgeLAB DR」は、「下げDR」にも「上げDR」に対応したうえで、従来のデマンドレスポンス(DR)支援サービスとは異なり、電力消費者への需要調整の要請、応動確認、集計を「大きなシステム改修投資なく手軽に」実現するシステムで、電力取引収支改善、容量拠出金低減、容量市場参加等の用途に対応した早期のデマンドレスポンスの稼働を求める小売電気事業者等へ販売しております。 収益区分
※収益区分の詳細は、前掲の表をご参照ください。簡易電力使用状況見える化サービス(NILMライトサービス)においては、当社グループのシステムと顧客である小売電気事業者等のシステムの連携のために生じる初期設定費用が一時的な収益である「アップフロント」に該当し、サービスを利用する際に生じるランニング費用が累積的・継続的な収益である「プラットフォーム・アプリ提供」に該当し、顧客の要望に基づいて、特別なシステム開発等を行った場合に生じる開発料金が一時的な収益である「その他」に該当いたします。「BridgeLAB DR」においては、当社グループのシステムと顧客である小売電気事業者等のシステムの連携のために生じる初期設定費用が一時的な収益である「アップフロント」に該当し、顧客が電力消費者に対象時間の電力消費の抑制を促すため、当社グループのシステムを利用する際に生じるランニング費用が累積的・継続的な収益である「プラットフォーム・アプリ提供」に該当し、顧客の要望に基づいて、特別なシステム開発等を行った場合に生じる開発料金が一時的な収益である「その他」に該当いたします。なお、「BridgeLAB DR」は、電力需給が厳しくなると見込まれる場合に、電力消費者に対象時間の電力消費の抑制を促すためのサービスであるという特性上、特に電力需要が緩む春秋期においては、顧客との契約は継続するものの、上記のランニング費用が数か月間計上されない場合があります。 実証実験段階電力利用効率の最適化のためには、電力+αの付加価値を実現することで、当社のサービスを大規模な電力会社単位や、地域・自治体単位で増やし、当社のサービスを社会基盤(インフラ)化することが重要になります。そのため、当社グループでは、電力+αの付加価値を実現するため、以下のとおり、実証実験を積極的に行っております。
① 防災貢献実証NILMは、災害時の避難誘導の強化や、復旧時の安全確認、漏電・トラッキングといった火事リスクの低減などレジリエンス(注8)への活用も計画されております。また、専用のデータマイニング(注9)を加えることで、各家庭における在宅確率を推定することも可能となります。当社グループでは、災害を懸念する地方自治体から依頼され、地域の防災監視を行う事業者などに対して、家電や家の電気設備の異常が見つかった際にお知らせすることが可能なサービス及び災害後の復旧時などに危険な家電の放置状態等を見守ることができるサービスの実証実験を行っております。当社グループでは、この実証実験に基づく商用サービスを2026年までの間にリリースすることを目指しております。
② スマートメーターの異常検知現行スマートメーターの発火や焼損事故が、日本各地で発生しており、原因や影響が議論されております。例えば、東京電力グループが家庭に設置している現行スマートメーターの焼損事故は、公には16件以上報告されております。主要な原因については、現時点で、部品の損傷と施工不良であると特定されているものの、スマートメーターの焼損事故は、安全性や信頼性の懸念を引き起こしており、電力会社と監督機関による詳細な調査と対策が行われております。当社グループでは、スマートメーターの焼損の予兆を検知した際に、それを電力会社に通知するサービスの実証実験を行っております。当社グループでは、この実証実験に基づく商用サービスを次世代(第2世代)スマートメーター(注10)が導入される2026年以降にリリースすることを目指しております。
② 海外領域当社グループは、海外領域においては、英国に連結子会社(Informetis Europe Ltd.)を設け、欧州圏の現地企業や日本企業の現地法人などとの実証実験を行う等、欧州圏における本格的な事業展開に向けた準備を進めております。特に、脱炭素化を背景に英国を筆頭とした欧州圏に広がるガスボイラー(ガス給湯器)からヒートポンプ(電気給湯器)への急速なシフトが直近で最大の事業拡大機会であります。このヒートポンプ(電気給湯器)への急速なシフトが進む中、電気の消費が急激に増加することによる電力系統・電力網の安定運用への影響を管理・制御するため、家全体だけでなくヒートポンプ(電気給湯器)やその他制御可能な機器の詳細な消費エネルギーデータを取得したうえでのヒートポンプ(電気給湯器)の最適化制御が重要になります。こうした状況を踏まえ、当社グループは英国において、電力消費の側面から電力利用効率の最適化を図るサービスを展開しております。2021年10月より、当社グループの電力センサーは、Daikin Europe N.V.の英国におけるヒートポンプ(電気給湯器)の付帯設備として導入され、実証的な取り組みを進めてまいりました。そして、2025年11月からは、これまでの実証的な取り組みを経て、当社グループの技術・サービスを活用した「Budget Control(バジェットコントロール)」サービスを搭載するヒートポンプ(電気給湯器)製品ラインナップ「UP Series(アップシリーズ)」の販売がDaikin Airconditioning UK Ltd.により開始され、欧州における商業展開が本格的に始動いたしました。ここでは、Daikin Europe N.V.の英国におけるヒートポンプ(電気給湯器)の付帯設備として導入される電力センサーの販売料金が「アップフロント」に該当し、導入された電力センサーからのデータに基づいて、最適化サービスを利用する際に生じるランニング費用が「プラットフォーム・アプリ提供」に該当し、特別なシステム開発やコンサルティング等を行った場合に生じる費用が「その他」に該当いたします。最後に、最近2連結会計年度の当社グループの事業領域及び後述の収益区分ごとの売上高は、以下のとおりであります。 (単位:千円) 2024年12月期2025年12月期国内領域969,081516,832アップフロント210,23115,091プラットフォーム・アプリ提供358,596299,950その他400,253201,791海外領域13,27113,186アップフロント1,162―プラットフォーム・アプリ提供10,3139,932その他1,7953,254国内領域及び海外領域合計982,352530,019アップフロント211,39315,091プラットフォーム・アプリ提供368,910309,883その他402,049205,045
(注) 「アップフロント」は、未実現利益調整後の金額となっております。未実現利益は、連結グループ会社間の内部取引から生じた利益のうち、期末までに実現していないものをいい、具体的には、当社が関連会社である株式会社エナジーゲートウェイに販売した電力センサーのうち、連結グループ外部へ販売されず、同社の在庫となっている(実現していない)ものについて、当該在庫に含まれる当社の売上総利益に当社持分の40%を乗じた金額を、連結売上高から消去いたします。この消去された利益は、その後、同社から連結グループ外部へ販売された(実現した)際に、再度認識されることとなります。 当社のミッションであるカーボンニュートラルの社会実装に挑み続けるためには、当社グループのサービスを社会基盤(インフラ)として確立することが不可欠です。そのため、当社グループでは、フロー型ビジネスからストック型ビジネスへの移行を推進しております。これにより、持続可能な収益を確保しつつ、エネルギー最適化ソリューションの提供を継続することが可能となります。2025年12月期は、大口顧客との契約終了等の外部要因の影響を受け、原価負担の大きい取引の売上が減少した結果、売上規模は縮小した一方で、収益性の高いストック型ビジネスの構成比は高まりました。一方で、当社グループの中長期の成長戦略の中核をなす次世代(第2世代)スマートメーターに関しては、次世代(第2世代)スマートメーターに関連する受託開発案件の受注増加を見込んでおり、短期的には、ストック型ビジネスの構成比が一時的に低下する可能性があります。ただし、これらの受託開発案件は、次世代(第2世代)スマートメーター時代におけるストック型ビジネスへの展開基盤を構築する戦略的投資であることから、中長期的なストック型ビジネスの絶対額拡大及び収益性向上を最優先に推進してまいります。 [事業系統図]当社グループの事業系統図は、以下のとおりであります。
(3) 事業の特徴当社グループのエナジー・インフォマティクス事業の特徴は、2つのAI技術、すなわちNILMをはじめとした電力データ解析技術と数理最適化技術、を活かしたSaaS事業を根幹としており、前者の電力データ解析技術では、ソニー株式会社(現・ソニーグループ株式会社)から譲渡を受けた、電力波形データ分析(NILM)が大きな技術差異化要素となっております。そのうえで、これまでに築き上げた事業実績として、
①標準電力スマートメーターのデータ活用優位性、
②SaaSモデル/リカーリング収入に支えられ逓増していく収益基盤、
③世界トップクラスの電力AI技術(ソニー発)、
④国内No.1電力会社を含む大手企業との強固なアライアンス戦略、
⑤全世界で拡大するエネルギーデジタル市場で欧州でも新サービスで先行、という5つのポイントが挙げられます。
① 標準電力スマートメーターのデータ活用優位性2026年から導入が進んでいる国内の次世代(第2世代)スマートメーターにおいては、その計量部において、従来のスマートメーターよりも大幅に高精細なデータ取得が可能となっており、当社の電力データ分析方式と互換性のある計測方式が仕様化されました。これにより今後、高精細データの取得にあたって電力センサーを新たに設置することなく、最大8,361万台
(注)にものぼる次世代(第2世代)スマートメーターから、当社のプラットフォームにエネルギーデータを収集して、サービスを提供することが現実的になります。ここにおいては、当社が10年以上蓄積してきた当該方式で収集するエネルギーデータの分析ノウハウが大きな優位性となり、当社のサービスの普及を促し、当社のサービスの社会基盤(インフラ)化が大きく加速することを、当社グループは期待しております。
(注) 経済産業省 電力・ガス取引監視等委員会 電力取引の状況(令和7年11月分)
※2021年2月1日 資源エネルギー庁 「次世代スマートメーターの 仕様の検討状況について」7頁のデータからグラフを作成 当社グループでは、次世代(第2世代)スマートメーターの高精細電力データから安全性の異常可能性を検知した際に、それを電力会社に通知するサービスの技術開発を終えており、この技術に基づく商用サービスを次世代(第2世代)スマートメーターが導入される2026年以降にリリースした後、小売電気事業者向けにデマンドレスポンス(DR)支援サービス(平均10百万円程度/社/年の実績)や、次世代(第2世代)スマートメーターの活用により、導入しやすい価格設定による電力の見える化サービスや見守りサービス(大手企業が提供するサービスの10分の1程度の月額料金を想定)、ミドルデータ(家電別稼働データ、生活パターン/生活スタイルライフ分析、在宅推定/活動レベル)などのミドルデータ提供サービス(~100円程度/世帯/月を想定)への応用展開を考えております。次世代(第2世代)スマートメーターの導入は、東京電力グループのみならず他エリアでも着実に前進しており、全国レベルでの本格展開に向けた環境が整いつつあります。実際に、関西電力送配電株式会社は2026年1月5日から次世代(第2世代)スマートメーターの設置開始を公表しており(出典:関西電力送配電株式会社「第2世代スマートメーターの設置開始について」2026年1月5日)、中部電力パワーグリッド株式会社も2026年1月から次世代(第2世代)スマートメーターの設置開始を公表しております(出典:中部電力パワーグリッド株式会社「第2世代スマートメーターの設置開始について」2025年12月8日)。こうした動きは、次世代(第2世代)スマートメーターを基盤とするデータ利活用・周辺サービスの需要拡大に向けた追い風となるものであり、当社グループは、この潮流を確実に捉え、事業機会の具体化及び収益化に向けて取り組んでまいります。
② SaaSモデル/リカーリング収入に支えられ逓増していく収益基盤当社グループの収益構造は、フロー売上・収益(一回売り切りタイプの売上・収益)である電力センサーの販売が、将来のストック売上・収益(継続的に積み上がっていくタイプのリカーリング売上・収益)につながるリカーリングビジネスと呼ばれる収益構造であり、一度の販売で終わるのではなく、顧客企業が定期・継続的に利用料金を支払うことで、当社グループは安定した売上・収益が得られます。また、顧客企業の収益基盤が拡大することで当社グループの売上・収益も逓増していくため、長期的に安定した収益基盤になっていると当社グループでは考えております。当社グループのようなリカーリングビジネスにおいて、解約率(チャーンレート)は非常に重要な指標となりますが、当社のサービスは顧客企業にとって重要なインフラとして機能しているため、解約率(チャーンレート)はこれまでほぼゼロを維持してまいりました。しかしながら、2025年12月期においては、創業以来初の大口顧客との契約終了が発生し、売上規模が大幅に縮小、業績は大幅赤字となりました。それでも、他顧客においては、当社のサービスは特に小売電気事業者にとって重要なインフラとして機能しているため、解約率(チャーンレート)がほぼゼロを維持しており、収益モデルの本質的な競争力は健在です。今後は、顧客基盤の多様化と解約リスク管理体制の強化を最優先に、持続的成長基盤の再構築に取り組んでまいります。
③ 世界トップクラスの電力AI技術(ソニー発)当社グループの電力AI技術は、ソニー株式会社(現・ソニーグループ株式会社)が時間と資金を投じて開発したもので、創業者である只野太郎が同社からカーブアウトして、当社を設立した際に有償にて譲渡されたものであります。一般的に電力データの取得は、現行スマートメーターや事業者独自開発のエネルギーマネジメントシステム(EMS)用電力センサーなどにより行われております。現行スマートメーターは、電力料金徴収を目的として、既に多くの家庭や施設に設置済みであることから、追加のコストが生じない(低コスト)というメリットを有している一方で、30分ごとの電力使用量を計測するものであることから、電力データの計測精細度(粒度)は、粗いものになるというデメリットを有しております。一方、事業者独自開発の電力センサーは、当社グループと同様の方向性を持つ競合企業(主に海外)があり、その中には、例えば1秒間に100万回の頻度(サンプリング周波数=メガヘルツ(MHz))といった高い精細度、高サンプリング周波数で計測し、電力データの計測粒度や特徴量抽出が、非常に高精細なものになるというメリットを有するものもありますが、高い精細度、高いサンプリング周波数で計測するためには、これを計測するための電力センサーで使用する部品が高性能、高価になるため、電力センサーの製造コストが高くなるというデメリットも有しております。そこで、当社グループでは、高精細なNILM(Non-Intrusive Load Monitoring)技術に必要な、十分に高い粒度の電力データの計測と、低コストを両立した独自の電力波形センサリング技術を開発し、これを搭載した電力センサー(以下の画像参照)を開発いたしました。 この電力センサーは、現行スマートメーターのハードウェアに使用されている部品の性能で実現可能な最大サンプリング周波数である約8kHz(1秒間に8,000回の頻度)での計測を設計仕様とすることで、現行スマートメーターと比べると1,000万倍以上粒度の高い計測を行いながらも、スマートメーターはじめ汎用製品等で大量に流通している部品を流用できるため、電力センサーの製造コストを低く抑えることが可能であります。当社の技術は、すべてのクラスにおいて、現行スマートメーターで対応可能な(=コストアップにならない)範囲で、一番高い粒度の電力の測定データが測定可能であるクラスに位置づけられており、上記の費用対効果の優位性の客観性が担保されております。上記ポジションをまとめると、以下のとおりであります。 現行スマートメーター及び一般的電力センサー事業者独自開発の電力センシング技術(他社高精細商品)当社グループの電力センシング技術計測対象30分単位での電力使用量メガヘルツ(MHz)波形キロヘルツ(kHz)波形計測粒度粗い(30分単位での計測)高精細(1秒以下)なNILMのために必要とされる以上に精細(秒単位での計測)高精細(1秒以下)なNILMのために必要十分に精細(秒単位での計測)計測コストコスト低(追加費用なし)コスト高(299~349米ドル/1台)コスト低(12,000円/1台)現行スマートメーター・ハード親和性○×○ (公開情報の分析をもとにした当社グループ調べ)
(注)…
財務は有価証券報告書、株価は市場の公開情報。 数値の正確性は保証しません。 水色のセルは、次の基準を満たすときです。成長率20%以上/総利益率70%以上/販管費率10%以下/営利率20%以上/Rule of 40が40%以上/セールス効率150%以上/PSRがRule of 40×7以下/PGPRがRule of 40×10以下/PERが成長率×100以下/PBRが営利率×10以下/ネットキャッシュが時価総額の50%以上/EV/EBITDAが5倍以下/自己資本比率80%以上/ROE20%以上/ROA10%以上。