AIRコラム2026-08-26
PBR1倍割れは1,203社・全上場の33.7%——業種別一覧とPBR分布【2026年8月集計】
国内上場3,569社の実データでPBR1倍割れの社数と比率を集計。業種別の1倍割れ比率の全一覧、PBR中央値1.31倍、偏差値換算の目安まで、2026年8月26日時点の数字で示します。
PBR1倍割れの銘柄リストは毎月のように公開されていますが、「そもそも全上場の何社・何%が1倍割れなのか」「どの業種に偏っているのか」「PBR1倍は市場全体の分布のどの位置なのか」をまとめた一覧はほとんど見つかりません。
この記事では、国内上場3,777社の開示データからPBRを算出できた3,569社を対象に、2026年8月26日時点でこの3つの問いに数字で答えます。株価・時価総額は原則2026年8月25日終値時点です。
PBR1倍割れとは
PBR(株価純資産倍率)は、時価総額が自己資本(純資産)の何倍かを示す指標です。1倍を下回ると「会社を解散して純資産を分配した方が今の株価より高い」計算になるため、資本市場からの評価が純資産の帳簿価値に届いていない状態とされます。
2023年に東京証券取引所が、PBR1倍割れ企業を念頭に「資本コストや株価を意識した経営」を上場企業へ要請して以降、この水準は市場全体で注目され続けています。
全上場でPBR1倍割れは何社あるか
項目
PBRを算出できた上場企業
数値
3,569社
項目
PBR1倍割れの社数
数値
1,203社
項目
1倍割れの比率
数値
33.7%
項目
PBR中央値
数値
1.31倍
| 項目 | 数値 |
|---|---|
| PBRを算出できた上場企業 | 3,569社 |
| PBR1倍割れの社数 | 1,203社 |
| 1倍割れの比率 | 33.7% |
| PBR中央値 | 1.31倍 |
東証の要請から3年が経った2026年8月時点でも、PBRを算出できる上場企業の33.7%、およそ3社に1社が1倍割れです。集計に含む3,777社全体に対する比率でみても31.9%になります。
業種別のPBR1倍割れ比率一覧
東証33業種のうち、算出対象が10社以上ある29業種の1倍割れ比率を高い順にすべて並べたのが次の一覧です。
業種
パルプ・紙
1倍割れ比率
90.9%
社数(うち1倍割れ)
22社中20社
業種
金属製品
1倍割れ比率
75.3%
社数(うち1倍割れ)
85社中64社
業種
電気・ガス業
1倍割れ比率
72.0%
社数(うち1倍割れ)
25社中18社
業種
鉄鋼
1倍割れ比率
71.4%
社数(うち1倍割れ)
35社中25社
業種
輸送用機器
1倍割れ比率
69.1%
社数(うち1倍割れ)
81社中56社
業種
倉庫・運輸関連業
1倍割れ比率
64.5%
社数(うち1倍割れ)
31社中20社
業種
繊維製品
1倍割れ比率
56.5%
社数(うち1倍割れ)
46社中26社
業種
海運業
1倍割れ比率
54.5%
社数(うち1倍割れ)
11社中6社
業種
その他製品
1倍割れ比率
52.4%
社数(うち1倍割れ)
103社中54社
業種
ガラス・土石製品
1倍割れ比率
52.2%
社数(うち1倍割れ)
46社中24社
業種
ゴム製品
1倍割れ比率
50.0%
社数(うち1倍割れ)
16社中8社
業種
卸売業
1倍割れ比率
49.8%
社数(うち1倍割れ)
273社中136社
業種
化学
1倍割れ比率
48.5%
社数(うち1倍割れ)
196社中95社
業種
銀行業
1倍割れ比率
44.9%
社数(うち1倍割れ)
78社中35社
業種
機械
1倍割れ比率
43.2%
社数(うち1倍割れ)
206社中89社
業種
陸運業
1倍割れ比率
41.8%
社数(うち1倍割れ)
55社中23社
業種
その他金融業
1倍割れ比率
38.9%
社数(うち1倍割れ)
36社中14社
業種
非鉄金属
1倍割れ比率
38.7%
社数(うち1倍割れ)
31社中12社
業種
水産・農林業
1倍割れ比率
36.4%
社数(うち1倍割れ)
11社中4社
業種
建設業
1倍割れ比率
36.2%
社数(うち1倍割れ)
138社中50社
業種
不動産業
1倍割れ比率
35.7%
社数(うち1倍割れ)
129社中46社
業種
食料品
1倍割れ比率
34.7%
社数(うち1倍割れ)
121社中42社
業種
電気機器
1倍割れ比率
30.8%
社数(うち1倍割れ)
214社中66社
業種
小売業
1倍割れ比率
25.9%
社数(うち1倍割れ)
313社中81社
業種
医薬品
1倍割れ比率
23.4%
社数(うち1倍割れ)
64社中15社
業種
精密機器
1倍割れ比率
22.0%
社数(うち1倍割れ)
50社中11社
業種
サービス業
1倍割れ比率
17.1%
社数(うち1倍割れ)
509社中87社
業種
情報・通信業
1倍割れ比率
8.9%
社数(うち1倍割れ)
561社中50社
業種
保険業
1倍割れ比率
7.1%
社数(うち1倍割れ)
14社中1社
| 業種 | 1倍割れ比率 | 社数(うち1倍割れ) |
|---|---|---|
| パルプ・紙 | 90.9% | 22社中20社 |
| 金属製品 | 75.3% | 85社中64社 |
| 電気・ガス業 | 72.0% | 25社中18社 |
| 鉄鋼 | 71.4% | 35社中25社 |
| 輸送用機器 | 69.1% | 81社中56社 |
| 倉庫・運輸関連業 | 64.5% | 31社中20社 |
| 繊維製品 | 56.5% | 46社中26社 |
| 海運業 | 54.5% | 11社中6社 |
| その他製品 | 52.4% | 103社中54社 |
| ガラス・土石製品 | 52.2% | 46社中24社 |
| ゴム製品 | 50.0% | 16社中8社 |
| 卸売業 | 49.8% | 273社中136社 |
| 化学 | 48.5% | 196社中95社 |
| 銀行業 | 44.9% | 78社中35社 |
| 機械 | 43.2% | 206社中89社 |
| 陸運業 | 41.8% | 55社中23社 |
| その他金融業 | 38.9% | 36社中14社 |
| 非鉄金属 | 38.7% | 31社中12社 |
| 水産・農林業 | 36.4% | 11社中4社 |
| 建設業 | 36.2% | 138社中50社 |
| 不動産業 | 35.7% | 129社中46社 |
| 食料品 | 34.7% | 121社中42社 |
| 電気機器 | 30.8% | 214社中66社 |
| 小売業 | 25.9% | 313社中81社 |
| 医薬品 | 23.4% | 64社中15社 |
| 精密機器 | 22.0% | 50社中11社 |
| サービス業 | 17.1% | 509社中87社 |
| 情報・通信業 | 8.9% | 561社中50社 |
| 保険業 | 7.1% | 14社中1社 |
最上位のパルプ・紙は22社中20社、9割が1倍割れです。金属製品・電気・ガス・鉄鋼・輸送用機器と、装置産業や資産の重い製造業が7割前後で続きます。
一方で最下位の保険業は7.1%、情報・通信業は8.9%にとどまります。同じ「PBR1倍割れ」でも、パルプ・紙では業種内の多数派であり、情報・通信業では1割未満の少数派です。1倍割れ銘柄の一覧を見るときは、市場全体との比較だけでなく、その業種の中で普通なのか例外なのかを併せて見る必要があります。
なお、算出対象が10社未満の鉱業、空運業、石油・石炭製品、証券・商品先物取引業は比率が安定しないため表から除いています(全体集計には含みます)。
PBRの分布——中央値は1.31倍
全3,569社のPBRの分布は次のとおりです。
PBRの水準
0.5倍未満
社数
232社
構成比
6.5%
PBRの水準
0.5倍以上1倍未満
社数
971社
構成比
27.2%
PBRの水準
1倍以上2倍未満
社数
1,292社
構成比
36.2%
PBRの水準
2倍以上5倍未満
社数
812社
構成比
22.8%
PBRの水準
5倍以上
社数
262社
構成比
7.3%
| PBRの水準 | 社数 | 構成比 |
|---|---|---|
| 0.5倍未満 | 232社 | 6.5% |
| 0.5倍以上1倍未満 | 971社 | 27.2% |
| 1倍以上2倍未満 | 1,292社 | 36.2% |
| 2倍以上5倍未満 | 812社 | 22.8% |
| 5倍以上 | 262社 | 7.3% |
中央値は1.31倍、下位25%の境目は0.85倍、上位25%の境目は2.28倍です。下位25%の境目が0.85倍ということは、1倍割れの大部分は「市場の下位4分の1」よりは上に位置していることになります。
偏差値に換算すると「PBR1倍」はどの位置か
PBRのような倍率は分布の右裾が長いため、対数変換したうえで平均50・標準偏差10の偏差値に換算すると位置がつかみやすくなります。ここでは割安なほど数値が高くなる向きで換算します(母集団はPBR20倍以下の3,548社)。
割安度の偏差値
40
相当するPBR
3.08倍
割安度の偏差値
50
相当するPBR
1.43倍
割安度の偏差値
60
相当するPBR
0.66倍
割安度の偏差値
70
相当するPBR
0.31倍
| 割安度の偏差値 | 相当するPBR |
|---|---|
| 40 | 3.08倍 |
| 50 | 1.43倍 |
| 60 | 0.66倍 |
| 70 | 0.31倍 |
この物差しでは、PBR1.0倍ちょうどは偏差値54.6に相当します。つまり「1倍割れ」は市場平均より割安側ではあるものの、偏差値55前後から始まる比較的ありふれた水準です。偏差値60(PBR0.66倍以下)、偏差値70(PBR0.31倍以下)まで下がって初めて、分布の中で明確に外れた割安圏に入ります。
1倍割れ一覧を見るときの3つの注意
業種の物差しを先に確認する。 上の一覧のとおり、1倍割れ比率は業種で7.1%から90.9%まで開きがあります。銘柄単体のPBRだけで判断せず、業種内の位置を確認するのが先です。
PBRが低いことと株価が上がることは別問題。 PBRは「現在の評価」を示す指標であり、それが解消されるかどうか、いつ解消されるかは示しません。資本収益性や還元方針など、評価が低い理由の分析が別に必要です。
算出できない銘柄がある。 今回の集計でも、自己資本がマイナス(債務超過)などでPBRを算出できない企業が208社あります。ランキングや一覧に載らない銘柄が存在すること自体も、データを見るうえでの前提になります。
集計方法
- 集計日は2026年8月26日。株価・時価総額は原則2026年8月25日終値時点(一部銘柄は直近取引日)です。
- PBRは時価総額を直近本決算(有価証券報告書ベース)の実績自己資本で割って算出しています。1株あたり純資産で割る方式と数値が僅かに異なる場合があります。
- 母集団は国内上場3,777社の開示データのうち、PBRを算出できた3,569社です。
- 業種は東証33業種分類を使用しています。
- 偏差値はPBRを対数変換して平均50・標準偏差10に換算したもので、割安なほど高い向きに揃えています。
