AIR
AIR(AI音声IR取材)
AIRセールスファクトブック
4891
アカデミア等の研究成果を基盤に可溶性エポキシドヒドロラーゼ(sEH)を標的とした医薬品候補物質SMTP化合物の研究開発を行いグローバル市場での製造販売を目指
有価証券報告書(2025-12期)からの抜粋。
3
① 可溶性エポキシドヒドロラーゼ(sEH)についてsEHは二つの作用を有すると考えられています。一つは、可溶性エポキシドヒドロラーゼという名称の由来となった、エポキシド構造*の化合物を加水分解*する作用です(EH活性)。具体的には、sEHは、生理活性脂質*エポキシエイコサトリエン酸(EETs:Epoxyeicosatrienoic Acid)*を、加水分解作用によりジヒドロキシエイコサトリエン酸(DHETs:Dihydroxyeicosatrienoic Acid)*に変換する役割を担っています。EETsは炎症を抑制する効果があることが知られています。このため、sEHを阻害することで、EETsからDHETsへの変換を防ぎ、EETsが減少せずに体内に留まります。これがsEH阻害剤の抗炎症作用のメカニズムの一つであると考えられています。sEHのもう一つの作用は、脱リン酸化作用*です(Phos活性)。sEHの脱リン酸化作用の詳細についてはまだほとんど解明されていませんが、当社は東京農工大学等との共同研究を通じて解明に取り組んでおり、sEH阻害による抗炎症作用の中核を担う作用であることが分かってきています。 (可溶性エポキシドヒドロラーゼ(sEH)の作用機序*)
② SMTP化合物群について当社のパイプラインTMS-007(JX10)、TMS-008及びTMS-009は、SMTPと名付けられた化合物のファミリーに属しています。SMTPは、黒カビの一種であるスタキボトリス・ミクロスポラ(Stachybotrys Microspora)が産生する化合物(Staplabin)と、約60種類のその誘導体からなる化合物群です。SMTPの主な作用機序は、sEHの阻害作用に基づく抗炎症作用ですが、一部の化合物はプラスミノーゲンに作用することで血栓を溶解する効果も有しています。 (a) SMTPによるsEH阻害作用SMTP化合物の多くは、sEHのEH活性とPhos活性の両方を阻害する作用を持っており、この作用により、強い抗炎症作用を生み出していると考えられています。これまでに、TMS-007(JX10)やTMS-008をはじめとしたSMTP化合物を様々な炎症性疾患のモデル動物*に投与する実験を行っていますが、多くの実験において抗炎症効果が確認されています。例えば、ob/obモデルマウスと呼ばれる、肥満/メタボリック症候群を模したモデルでは、TMS-007とTMS-008の投与はコレステロールや中性脂肪といったマーカーを下げるだけではなく、肝臓の炎症を下げる効果が確認されました。また、潰瘍性大腸炎のモデルマウスでは、TMS-008の投与は症状を改善したのみならず、5-ASA(5-アミノサリチル酸、潰瘍性大腸炎の第一選択薬として広く使用されている)との比較においても優れた結果を示しました。 (ob/obモデルマウスにおけるSMTP化合物の肝炎抑制)AST/ALT:どちらも肝臓に多く含まれる酵素。肝臓が障害を受けると血液中の値が上がることから、肝炎等の肝障害の程度を示す指標として用いられる。Control:ob/obモデルマウス。ob/obモデルマウスは肥満モデルマウスの一種で、遺伝子変異により著しい肥満状態となる。メタボリック症候群のモデルとして多く用いられる。TMS-007:Controlと同じ状態のマウスにTMS-007を投与したマウス。TMS-008:Controlと同じ状態のマウスにTMS-008を投与したマウス。 (潰瘍性大腸炎モデルマウスにおけるTMS-008の薬理効果)DAIスコア:潰瘍性大腸炎の重症度の指標。数値が大きいほど重症。組織スコア:組織学的所見の指標。本試験では5段階の指標を用いており、数値が大きいほど重症。Normal:通常状態のマウスControl:人為的に潰瘍性大腸炎症状を起こしたマウスTMS-008:Controlと同じ状態のマウスにTMS-008を投与したマウス5-ASA:Controlと同じ状態のマウスに5-ASAを投与したマウス (b) SMTPによる血栓溶解作用生体における血栓溶解のメカニズムは精密に制御されていますが、主要なメカニズムは、血中に多く含まれているタンパク質プラスミノーゲンが、血栓の主要構成タンパク質であるフィブリン*と結合することにより組織型プラスミノーゲン・アクティベータ(t-PA)*を誘導し、t-PAがプラスミノーゲンの一部を切断することでプラスミン*に変化させ、このプラスミンがフィブリンを分解するというものです。t-PAは、急性期脳梗塞の治療薬として米国FDA*に唯一承認されている化合物でもあります。遺伝子組換えにより作られたt-PAを体外から投与することにより、プラスミンを多く生成し、その結果血栓溶解を促進する効果をもたらします。一方で、t-PAを大量投与することにより、生体内の凝固線溶系のバランスが崩れ、血栓が存在しない場所でも出血を助長する副作用のリスクが指摘されています(Pendlebury et al. Ann. Neurol. 1991)。これに対して、SMTP化合物が血栓溶解を促進する作用は、SMTPがプラスミノーゲンに結合してその立体構造を変化させ、プラスミノーゲンとフィブリンが結合しやすくすることで血栓溶解プロセスを迅速に発生させるという仕組みです。SMTP化合物を投与しても、血栓溶解に関わる種々のタンパク質等のバランスを崩すことがないことから、出血助長の副作用を惹き起こすリスクが低いと考えられています。 (SMTP化合物による血栓溶解作用機序) (2)開発パイプライン 当社における臨床段階のパイプラインは、臨床後期段階(前期第Ⅱ相臨床試験終了)にあるTMS-007(JX10)と、臨床早期段階にあるJX09及びTMS-008の3化合物からなっています。また、TMS-008のバックアップ化合物としてTMS-009があります。TMS-007、TMS-008及びTMS-009は全てSMTP化合物ファミリーに属しますが、今後はsEHをターゲットとしうるSMTP以外の化合物の研究開発も進めていきます。1. TMS-008は、CORXELからの無償使用許諾にもとづき当社で開発中。TMS-009はTMS-008のバックアップ化合物。2. CORXELより日本における開発販売権の無償ライセンスを取得(2024年1月)。3. TMS-010は2024年7月に、R-001は2025年11月に北海道大学より日本を含む全世界における独占的ライセンスを取得。4. ASI(Aldosterone synthase inhibitor):アルドステロン合成酵素阻害剤5. BBSCB(Blood-brain spinal cord barrier)保護:血液脳脊髄関門の破綻を防ぐ。
① TMS-007(JX10)(急性期脳梗塞) 脳梗塞は、世界で年間約763万人が発症し約329万人の死亡原因となっている、非常に重大な疾患です(World Stroke Organization:Global Stroke Fact Sheet 2022)。急性期脳梗塞は、血栓により脳血管が閉塞して脳への血液供給が滞ることで生じます。片麻痺、記憶障害、言語障害、読解力・理解力の低下、その他の合併症を引き起こし、脳の永久的な損傷に繋がる可能性があります。また、介護が必要になる原因としても上位であり、医療経済に対し極めて大きな影響をもたらしています。それにも関わらず、先進国で共通に承認されている医薬品は一品目のみであり、しかも脳梗塞患者全体の10%未満にしか投与されておらず、非常に大きなアンメット・メディカル・ニーズ*が存在しています(Intern Med 54:171-177, Prehospital Delay and Stroke-related Symptoms)。TMS-007(JX10)は、血栓溶解作用と抗炎症作用を併せ持つ新しい作用機序により急性期脳梗塞治療に大きな変化をもたらすことが期待されると当社は考えています。 (a) 急性期脳梗塞(AIS)市場について脳梗塞を含む脳卒中は、世界の死亡原因第2位であり、成人の障害を惹き起こす主要な原因の一つとされています(Katan et al. Semin Neurol 2018;38:208–211)。全世界の脳卒中発症数は年間約1,222万人とされていますが、うち約763万人(約63%)が脳梗塞患者です。また、脳卒中による世界の死亡数は年間約655万人とされており、うち約329万人(約50%)が脳梗塞によるものです(World Stroke Organization:Global Stroke Fact Sheet 2022)。米国では、脳卒中発症患者のうち約87%が脳梗塞患者とされており、2018年に約55.3万人が脳梗塞を発症したとの推計があります(Tsao et al. Heart Disease and Stroke Statistics 2022 e391、Datamonitor Healthcare “Stroke Epidemiology”, Published on 07 January 2019)。脳卒中は、米国の死亡原因として第5位であり、成人に障害をもたらす最大の要因であると考えられています(Centers for Disease Control and Prevention, “National Vital Statistics Reports volume 70”)。日本では、2018年に約23万人が脳梗塞を発症したとの推計があります(Datamonitor Healthcare ”Stroke Epidemiology”, Published on 07 January 2019)。 1.Datamonitor Healthcare.”Stroke Epidemiology”,Ref Code:DMKC0201444.Published on 07 January20192.欧州5ヵ国はドイツ、フランス、イタリア、スペイン、英国を指します 世界の急性期脳梗塞の患者数は増加することが予想されています。また、2021年における急性期脳梗塞の治療薬の売上高は21億ドル程度であり、市場は年々拡大することが予想されています(出典:Informa;Activase®とActilyse®の推計売上高を合計。統計資料や出版物の正確性には限界があるため、実際の市場規模は、推定値と異なる可能性があります。)。t-PAは脳梗塞患者全体の10%未満にしか使用されていないとされていること(Intern Med 54: 171-177, Prehospital Delay and Stroke-related Symptoms)から、t-PAの対象患者よりも多くの患者にTMS-007(JX10)の投与が可能となった場合、市場規模はさらに拡大することが予想されます。米国における脳卒中による生涯コストは一人当たり約14万ドルとする報告があり(Katan et al. Semin Neurol 2018;38:208–211)、年間約55.3万人が脳梗塞を発症することを考えると、毎年膨大な将来負担が発生していることとなります。 (b) TMS-007(JX10)の優位性について急性期脳梗塞の治療戦略としては、1)発症後できるだけ早く血流を再開すること、2)浮腫*や炎症を抑えること、の2つがあります。血流再開の目的では、医薬品としては既に各国で承認されているt-PAが代表的なものとなります。浮腫・炎症を抑える目的では、現在のところ先進各国で共通して承認された医薬品は存在しておらず、作用機序が異なる複数の医薬品が開発中ですが、後期臨床試験に入っている品目はごく少数となっています。当社のTMS-007(JX10)は、プラスミノーゲンを介した血栓溶解による血流再開と、sEH阻害を機序とした抗炎症の両方のメカニズムを併せ持っており、単剤で「血流再開」と「抗炎症」の両方の治療戦略に対応することが可能となっています。このように「血流再開」と「抗炎症」の効果を併せ持った化合物はほとんど知られておらず、他の薬剤及び薬剤候補物質に対する優位性があると考えられます。 (論文 M. Zaleska et al. (2009) Neuropharmacologyより改変) また、t-PAは血栓溶解作用による血流再開を作用機序としていますが、頭蓋内出血を助長する副作用のリスクがあることが知られており、主にこの副作用のリスクを軽減するために、原則として発症後4.5時間以内に投与することが義務付けられています(豊田一則 臨床神経 49: 801―803, 2009)。これに対して、TMS-007は臨床試験において副作用として米国国立衛生研究所脳卒中スケール(NIHSS)*4以上の悪化を伴う症候性頭蓋内出血*は発現しておらず、また動物実験では逆に頭蓋内出血を抑えるとの結果が得られています(Ito et al. Brain Res 2014)。このため、TMS-007の投与可能時間は発症後4.5時間の枠を超えることが期待されています。実際、当社のTMS-007前期第Ⅱ相臨床試験では発症後12時間以内の被験者に対して投与を行っております。TMS-007は、その有効性と安全性により、t-PAよりも多くの患者に使用される可能性があります。t-PAを使用可能な時間帯に病院に到着した患者のうち、実際にt-PAを投与された患者は26%という報告があります(出典:Messe(2016), “Why are acute ischemic stroke patients not receiving IV t-PA”)。TMS-007は、その高い安全性により、発症後投与可能時間の中で最大75%の患者に使用される可能性があり、潜在的な市場規模はt-PA対比で大きくなる可能性があります(単純計算で約2.9倍)。また、t-PAは原則として発症後4.5時間以内に投与される必要がありますが、TMS-007の発症後投与可能時間が12時間又は24時間まで延長された場合、投与可能患者はt-PAの約1.6倍又は約1.9倍となる可能性があります。以上を総合すると、発症後12時間又は24時間経過した患者に対するTMS-007の使用可能性が発症後2時間以内の患者に対する使用可能性と変わらないと仮定すれば、TMS-007はt-PAと比較して潜在的な市場規模は4.6倍~5.5倍となる可能性があります。また、上記のような有効性と安全性が認められれば、t-PAよりも高い薬価が設定される可能性もあります。 上記情報には、現在入手可能な情報に基づく当社の判断による、将来に関する記述が含まれております。そのため、上記の情報は様々なリスクや不確実性に左右され、実際の開発状況はこれらの見通しと大きく異なる可能性があることをご承知おきください。 (c) TMS-007の前期第Ⅱ相臨床試験の結果について当社は、2017年11月から2021年8月にかけて、TMS-007の前期第Ⅱ相臨床試験を実施しました。当該試験は、単回投与・無作為化*・プラセボ*対照*・用量漸増*・二重盲検試験*として日本国内で実施されたもので、TMS-007投与群52例、プラセボ群38例の被験者が組み入れられました。また、TMS-007投与群のうち、1mg/kg投与群が6例、3mg/kg投与群が18例、6mg/kg投与群が28例でした。主要な組入基準は、既存の血栓溶解薬又は血管内治療*の対象とならない、発症後12時間以内の急性期脳梗塞患者であり、TMS-007群では発症から投与までの平均経過時間(中央値)は9.5時間、プラセボ群では9.3時間でした。当試験の主要評価項目は安全性で、「米国国立衛生研究所脳卒中スケール(NIHSS)4以上の悪化を伴う症候性頭蓋内出血の発症率」で評価されました。TMS-007群では該当する症例は報告されず(0例/52例)、プラセボ群では該当症例の発症率は2.6%でした(1例/38例)。また、軽症を含む全ての頭蓋内出血(Total ICH)の発生率はTMS-007群:11.5%(6/52例)、プラセボ群:13.2%(5/38例)でした。さらに、TMS-007群は、副次評価項目の一つである発症後90日での生活自立度において大きな改善を示しました。生活自立度を評価する指標であるモディファイド・ランキン・スケール(mRS)*において、TMS-007群は40.4%の被験者が0又は1のスコアとなり、日常生活に支障のない範囲となったのに対し、プラセボ群では18.4%でした。この結果は、被験者総数90例という比較的小規模な治験であったにもかかわらず、統計的な有意差をもたらすこととなりました(P値*<0.05、単純オッズ比*3.00、調整オッズ比3.34)。なお、90日後mRS0-1への転帰率はExcellent Outcomeとも呼ばれ、急性期脳梗塞の有効性主要評価項目(ゴールド・スタンダード・エンドポイント)とされています。 (TMS-007前期第Ⅱ相臨床試験の主要な結果) また、視認可能な血管閉塞を有する一部の被験者において、CT血管造影法(CTA)*又は磁気共鳴血管撮影(MRA)*により評価された血管の再開通率は、TMS-007投与群で58.3%(14/24例)、プラセボ群で26.7%(4/15例)となり、統計的有意差までは至らなかったものの、TMS-007による生活自立度の改善を支持する結果となりました(95%信頼区間*0.99-18.07、オッズ比4.23)。 (TMS-007前期第Ⅱ相臨床試験の概要) TMS-007群プラセボ群デザイン無作為化・プラセボ対照・用量漸増・二重盲検主要組入基準18歳以上、88歳以下の急性期脳梗塞患者血栓溶解療法及び血管内療法を適用できない発症後12時間以内に投与開始可能用法用量単回投与被験者数52名38名発症後平均経過時間9.5時間9.3時間症候性頭蓋内出血0%2.6%有効性(mRS0-1転帰率)140.4%18.4%血管再開通率58.3%26.7%1 統計的な有意差が示されました。(P値<0.05、単純オッズ比3.00、調整オッズ比3.34) (d) TMS-007の導出に関する契約について 当社は、2018年6月にバイオジェン社とオプション契約を締結しました。バイオジェン社は、TMS-007前期第Ⅱ相臨床試験の結果を受けて、2021年5月にオプション権を行使し、これにより、以降の開発はバイオジェン社の責任と費用により行われることになりましたが、バイオジェン社は、その戦略変更により、オプション契約における同社の地位を旧Ji Xing Pharmaceuticals Hong Kong Limited(香港、現CORXEL Pharmaceuticals Hong Kong Limited。以下、同社の親会社であるCORXEL Pharmaceuticals Limitedを含む同社グループ会社を総称して「CORXEL」という。)に譲渡することとなりました。バイオジェン社からCORXELへの契約上の地位の移転は、2024年1月11日に行われ、地位の移転後はTMS-007の開発及び各国での承認取得(日本を除く)もCORXELが行うこととなりました。また、TMS-007の日本における開発販売権は、同日付にて行われたオプション契約の変更に基づき、当社に無償でライセンスされました。なお、TMS-007のグローバル試験の中で当社が日本で行う臨床試験の費用については、CORXELとの契約にもとづき75%が同社により補填されることとなっております(上限1,000万ドル)。 当社とバイオジェン社のオプション契約により、当社は、2018年6月の契約締結時に400万ドル、2021年5月のオプション権行使時に1,800万ドルを既に受領しています。 オプション契約に基づくバイオジェン社の契約上の地位がCORXELに譲渡されるのと同時に、オプション契約の内容が変更され、当社は、
①アップフロントとしてCORXEL
※の株式500万ドル相当、TMS-007の日本における開発販売権、JX09の日本における開発販売権、
②最大3億6,750万ドルのマイルストーン*一時金(開発マイルストーン最大1,250万ドル、販売マイルストーン最大3億5,500万ドル)、
③日本を除く地域の製品売上高に応じて一桁%台後半~10%台前半の段階的料率によるロイヤリティ(料率の変更なし)を受領する権利を有することとなりました。 (オプション契約の概要)種類時期金額等契約金(受領済)2018年6月400万ドルオプション行使料(受領済)2021年5月1,800万ドル契約変更アップフロント(受領済)2024年1月CORXEL
※株式500万ドル相当TMS-007の日本での開発販売権JX09の日本での開発販売権マイルストーン(開発・販売状況に応じて)最大3億6,750万ドル開発マイルストーン:最大1,250万ドル販売マイルストーン:最大3億5,500万ドルロイヤリティ(関連特許権の消滅する時と販売開始後8年のいずれか遅い方まで)一桁%台後半~10%台前半
※Ji Xing Pharmaceuticals Limited(現 CORXEL Pharmaceuticals Limited)(ケイマン諸島) (e) TMS-007(JX10)の今後の開発について 2025年2月より開始された第Ⅱ相/第Ⅲ相臨床試験「ORION」は、発症後4.5時間から24時間までの脳梗塞患者を対象としてCORXELが主体となって実施するグローバル臨床試験であり、2025年5月に最初の被験者への投与が実施されました。当社はTMS-007(JX10)の日本における独占的な事業化の権利を有し、日本のパートナーとしてこの臨床試験に参加しております。2025年4月に当社がPMDA(独立行政法人医薬品医療機器総合機構)へ治験計画届出書を提出し、当事業年度終了後の2026年2月には、日本における最初の被験者への投与が行われました。 (TMS-007(JX10)第Ⅱ相/第Ⅲ相臨床試験「ORION」の概要)デザイン無作為化・プラセボ対照・二重盲検・並行群間比較主要組入基準18歳以上、90歳以下の急性期脳梗塞患者画像解析にて救済可能な組織が認められる患者投与前のNIHSSスコア5以上最終健常確認時から4.5~24時間以内用法用量単回投与予定被験者数740名(パート1:240名・パート2:500名)主要評価項目90日後のmRSスコア 0~1の被検者の割合ランダム化後36時間以内の症候性頭蓋内出血の発現率
② TMS-008 TMS-008は、血栓溶解作用がほとんどなく、sEH阻害による抗炎症作用を有するSMTP化合物です。2025年6月に第Ⅰ相臨床試験を完了しました。 TMS-008は、その抗炎症作用により、大きなアンメット・メディカル・ニーズを有する急性期の炎症性疾患を標的として開発が進められており、当社では、急性腎障害及びがん悪液質を適応として開発を行う予定です。また、他の疾患への適応についても研究を進めており、得られた結果によっては、TMS-008の適応疾患としてパイプラインに掲げる適応を追加する可能性があります。 バイオジェン社がオプション権を行使したことにより、TMS-008を含む全てのSMTP化合物に関する製造開発権はバイオジェン社に移転され、その後、バイオジェン社からCORXELにそれらの権利が移転されました。当社は、引き続きTMS-008を含む複数の化合物を一定の疾患を適応として開発する権利について、CORXELから無償での使用許諾を受けています。また、当社がTMS-008の適応疾患としてパイプラインに掲げている適応は、全てこの無償使用許諾の範囲内となっております。 (a) 急性腎障害適応について急性腎障害(AKI)は、数時間~数日の間に腎機能が急激に低下する疾患であり、多種多様な病因がありますが、他疾患との合併症によるものが多いと言われています。国内の調査では、AKIの原因は敗血症(35%)、心原性ショック(21%)、大手術後(13%)との報告があります(日本内科学会雑誌 第103巻 第5号 平成26年)。また、COVID-19の感染によってもAKIが発症することが報告されています(Nature Reviews Nephrology volume 16, pages747–764 (2020))。AKIの疫学*は十分に分かっていませんが、海外での報告では、透析が必要ない症例と透析が必要な症例で、人口10万人あたり、それぞれ約200~500件/年及び約20~30件/年との報告があります。国内では、急性血液浄化治療*が必要であったAKI患者は、人口10万人あたり13.3人/年との報告があります(日本内科学会雑誌 第103巻 第5号 平成26年5月10日)。また、市場調査報告では、主要7ヶ国(日米+欧州5ヶ国)での年間患者数は2030年に約1,100万人に到達するとの推計があります(Delveinsight, “Acute Kidney Injury - Market Insights, Epidemiology, and Market Forecast—2030”。欧州5ヶ国はドイツ、フランス、イタリア、スペイン及び英国を指す。)。AKIは入院患者の発症率が非常に高く、8%~16%にも上るとの報告があります(Adv Chronic Kidney Dis. 2017;24
(4):194-204)。入院中のAKI患者の死亡率は20%~25%にも上るとの報告があり(Nephron. 2017 ; 137
(4): 297–301)、また、回復しても慢性腎疾患(CKD)に移行する患者も多いとされています。医療経済に与える影響も大きく、米国においてはAKIによる医療コストは年間54億~240億ドルに上るとの報告があります(Silver et al. Nephron. 2017)。このように重大な疾患であるにもかかわらず、AKIを対象として承認された治療薬は存在せず、大きなアンメット・メディカル・ニーズとなっています。当社では、TMS-008をAKI適応として開発することを計画しています。 (b)がん悪液質についてがん悪液質は、「通常の栄養サポートでは完全に回復することができず、進行性の機能障害に至る、骨格筋量の持続的な減少(脂肪量減少の有無を問わない)を特徴とする多因子性の症候群」と定義されています(Fearon K, et al. Lancet Oncol. 2011; 12
(5): 489-495)。進行がん患者の80%が悪液質の症状を呈し、がん患者の死因の20%が悪液質によるものとの報告もあります(静脈経腸栄養 Vol.23 No.4 2008)。がん悪液質の患者数は、欧州で約100万人及び米国で約43万人(Journal of Cachexia, Sarcopenia and Muscle 2019; 10: 22–34)、日本では約17万人(Journal of Cachexia, Sarcopenia and Muscle 2016; 7: 507–509)と推計されており、これらの各国合計で約160万人の患者数となります。がん悪液質の治療薬としては、2021年1月に、世界に先駆けて日本において、グレリン様作用薬*のエドルミズ錠(一般名:アナモレリン)が承認され、2021年4月に販売開始となりました。がん悪液質の市場規模は、2020年において全世界で22億5,600万ドルとする推計があります(Mordor Intelligence:Global Cancer Cachexia Market 2021-2026)。がん悪液質の病因ははっきり分かっていませんが、全身性炎症が病因の一つであると考えられています。このため、がん悪液質患者の炎症を緩和するような医薬品が強く求められています。 (がん悪液質とは) (c) TMS-008の前臨床試験の結果について当社は、昭和大学及び自治医科大学それぞれとの共同研究に基づき、急性腎不全モデルマウスを用いた前臨床試験を行いました。このうち、昭和大学との共同研究においては、腎機能の指標であるScr(血清クレアチニン)及びBUN(血中尿素窒素)の改善が確認され、自治医科大学との共同研究でも改善傾向が示されました。また、当社によるがん悪液質モデルマウスを用いた前臨床試験の結果によれば、TMS-008はヒラメ筋と脛骨筋の筋肉量の減少に対して有効性が確認されました(それぞれP値 (d) TMS-008の臨床試験について 当社は、TMS-008の第Ⅰ相臨床試験の治験計画届出書を、2024年2月にPMDAに提出しました。当該臨床試験は、TMS-008を初めてヒトに投与するFirst-In-Human試験*であり、健康成人男性を対象として、主としてTMS-008の薬物動態と忍容性*・安全性を確認するものとなります。実際の臨床試験は、東京大学医学部附属病院において実施され、2024年6月に第1例目投与を実施、同年12月に全ての被験者への投与・観察を完了いたしました。データ・リードアウトを2025年4月に行い、同年6月に治験総括報告書(CSR: Clinical Study Report)が完成し、第Ⅰ相臨床試験が無事終了いたしました。続いて、次相臨床試験のデザイン検討を進めております。
③ JX09 JX09は、アルドステロン*合成酵素の阻害活性を持つ低分子化合物です。2024年2月より、CORXELにより、オーストラリアにて第Ⅰ相臨床試験が実施されています。 JX09は、そのアルドステロン合成酵素の阻害活性により、治療抵抗性及びコントロール不良の高血圧治療薬としての可能性が期待されています。治療抵抗性及びコントロール不良の高血圧治療薬は、高血圧の治療を受けている患者の10~20%程度存在すると考えられており、日本国内だけでも130~260万人の患者が存在すると想定されています。 アルドステロン合成酵素阻害剤においては、アルドステロン合成酵素であるCYP11B2*のみを選択的に阻害し、非常によく似た構造を持つCYP11B1*を阻害しないことが重要と考えられていますが、JX09はCYP11B2に対する高い選択性を示しており、ベスト・イン・クラス*の可能性があると考えられます。 (日本における想定患者数)
④ TMS-009当社は、TMS-008のバックアップ化合物として、TMS-009の開発を準備しています。TMS-009は、TMS-008と類似した性質を持っていますが、動物試験によってはTMS-008よりも高い薬理効果を示しており、純粋にバックアップ化合物としてだけではなく、適応疾患によってはTMS-009をメインに開発を行うことも視野に入れています。バイオジェン社がオプション権を行使したことにより、TMS-009を含む全てのSMTP化合物に関する製造開発権はバイオジェン社に移転され、その後、バイオジェン社からCORXELにそれらの権利が移転されました。当社は、TMS-009を含む複数の化合物を一定の疾患を適応として開発する権利について、CORXELから無償での使用許諾を受けています。
⑤ TMS-010 脊髄損傷を適応症とし、2022年7月に北海道大学とオプション契約を締結して評価を行ってきたシーズについて、2024年7月に同大学との間でライセンス契約を締結し、当社のパイプラインにTMS-010として追加いたしました。当社は当該ライセンス契約により全世界における独占的な開発製造販売権を取得しております。 脊髄損傷は、運動麻痺・感覚麻痺・排尿排便障害などに至ることがある重篤な疾患ですが、未だ効果的な薬剤がない状況にあります。北海道大学で見出された当該治療薬候補化合物は、血液脳脊髄関門(BBSCB:Blood-brain spinal cord barrier)の破綻を防ぐことで、脊髄の二次損傷を抑制する神経保護作用が期待できます。
⑥ 新規パイプライン当社は、東京農工大学で発見・評価が進められたSMTP化合物の開発を手掛け、非臨床・CMC開発、さらには臨床開発を実施してきました。これらの実践を通じて得られた知見を活用し、東京農工大学をはじめ、昭和医科大学、徳島大学等との共同研究を通じて、sEHを標的とする新たな医薬品候補物質の研究開発を推進しています。いくつかの病態モデル動物で薬効を確認しており、早期の本格的開発の開始を目指しています。アカデミアにより発見された化合物を、アカデミアと緊密に連携しつつ臨床開発実施まで持ち上げ、ヒトPOC*を取得してグローバル製薬企業への導出を達成した当社は、これらの実績と経験の上にユニークな創薬シーズを育成してグローバル医薬品市場につなぐことを使命としています。その一環として、2024年7月に北海道大学のシーズである脊髄損傷治療薬候補TMS-010、2025年11月には同じく北海道大学で発見された生理活性脂質レゾルビン類縁体を導入し、研究開発を開始しています。 (3)事業モデル当社の基本的な事業モデルは、医薬品開発における研究段階から早期臨床段階までを当社が行い、後期臨床段階からは国内外の製薬会社と提携して開発製造販売権を付与し、提携先製薬会社から開発一時金(マイルストーン)及びロイヤリティ収入等を得るものです。また、疾患分野によっては、当社が後期臨床段階及び承認取得、さらには販売まで手掛けることも視野に入れています。…
財務は有価証券報告書、株価は市場の公開情報。 数値の正確性は保証しません。 水色のセルは、次の基準を満たすときです。成長率20%以上/総利益率70%以上/販管費率10%以下/営利率20%以上/Rule of 40が40%以上/セールス効率150%以上/PSRがRule of 40×7以下/PGPRがRule of 40×10以下/PERが成長率×100以下/PBRが営利率×10以下/ネットキャッシュが時価総額の50%以上/EV/EBITDAが5倍以下/自己資本比率80%以上/ROE20%以上/ROA10%以上。